shuhuugoo’s blog

等身大の 心の旅 ~自己観察 家族観察 いのちの観察~

心の断捨離エッセイ


      

 『虹を嗅ぐ』

 

弾けて踊り疲れた雨粒たちが、静かに並ぶ。ぬるめの風に身を任せ、手を繋いで光を仰ぐ。彼らはスクリーンとなり、母なる星の顔を写す。水滴のクレヨンが、さぁーっと空に帯を掛けた。七通りの道を携えて、地を這う人の動きを止めた。

 

湿ったアスファルトが、鈍い鼻をくすぐる。同時に左右のアンテナが、トロトロと溶け始める。目にかすむ全てが、アーチを引き立てた。他をかき分け、そっとよじのぼってる。

 

弧を描き辿り着く先を、人は知りたい。つい乗せてみたくなる、欲張りな未来。受け身の人生など、色も味も深みも無いのに。

 

こちらを超えて、薄れる後ろ側はどうだろう。痛みを忘れ、過去を覗いてみたくなるのも人。あんなに傷を負ったのに。厄介なことに、都度の出逢いにも沸き起こる。興味本位の昔探りは邪心を生む。クレヨンの境目がぼやけそうになって、ハッとした。振りで色をぐちゃぐちゃにするところだった。プリズムに迷い込まないように、喝を入れる。

「そうだ、振り向いてはいけない!」

 

七色の贈り物の反対側で、必ず母は見ている。1億5千万キロかけて、強く照らしてくれている。先が見えないのは、見えない気がするだけだ。角度を変えてみるもよし、一旦休憩するもよし。日を置いて、少し高いところに行ってみよう。次に出会えるのは、真っ白な霧のクレヨンかも。繊細な一色が、青一面によく似合う。

 

フワフワと、蟻の大きさの人の営みを見下ろす。すっかり蒸されてじとっとした足下だと気付く。虹までの旅の道は、一気に消えた。しばらく経ったはずの一人旅は2~3分ほど。母にゆっくり見送られるのを、伸びる影で確かめた。

「また明日、会えるよね」

疑うこともなく、声なき言葉を飛ばした。

 

息が合った時だけくれる、空を渡るメッセージ。まだ匂いは残っている。水と光の共演を、身体いっぱい吸い込んだ。

 

 

 

出掛けることがほとんど無い今、空を仰ぐのは朝5時台の一瞬です。日に当たることも、雨傘をさして歩くことも、だんだん懐かしくなりはじめました。虹なんて、いつから見てないだろうかと考えているうち、自分の世界に入り込んでしまいました。

深みにはまってしまい、解釈に悩む箇所があるかと思います。

ようこそ!shuhuugooワールドへ。ご遠慮なくお入りください。

 

(2019.8.11 改行箇所修正)