シュフウグーの 主婦エッセイ

等身大の 心の旅 ~自己観察 家族観察 いのちの観察~

「25枚お願いします」

 

  のごあいさつ」/〇〇(名前)

25枚よろしくお願い致します

定期的に届く5センチ角の付箋と白紙の短冊のし紙が 先日も輪ゴム止めで自宅に届いた

  」のところだけ二十四節気に沿い 送り届けるタイミングに合わせ変えてゆく

 

野菜の箱詰めを贈答用に利用していただいている その箱の上に貼る短冊状ののし紙を毛筆書きで仕上げて返す

「賞状技法士」や「賞状書士」といった筆耕の類だが 私の場合は仕事として受注しているわけではない

兄の会社の手伝いのようなもので そもそも資格を取得しているわけでもない

文字を「書く」ことが好き それだけだ

枚数か時間か何か単価を決めて支払ってくれるという話も出たが 自分が納得をして好きで書いているのだ 平行線をたどり話は消えた これでいい

白紙の空間と向き合うときはリラックスした状態でいたいのだ お金が絡むと空間認識がブレるし文字が潰れる 気持ちは文字に移りやすい

 

「商売下手」この四文字が身体に染みついていると気付かされたのは 地元にある高校の同窓会進行の仕事依頼を受けたとき

地元ながら私はその高校の卒業生ではないのだが 何せ小さな町だから 私のような職を手につけている人間はあまり…いやほとんど居ない

口伝えあるいは仕事の様子を客席からたまたま見かけて「うちでも何か行事があったらぜひよろしく」と声を掛けていただき 本当に連絡が入る

同窓会の際もそのような調子で依頼をいただきもう10年ほどで 顔なじみのメンバーがこぞって街へ繰り出しホテルの会場を借りてその時は過ぎる

ある年に 幹事のメンバーから報酬を受け取る際の衝撃の一言に恐縮した

「自分の仕事を安売りしちゃダメだ」

安売りなどという感覚はなく 予想外の唐突な言葉に「えっいやいや充分いただいていますから」と身をかがめるしかなかった

その幹事さんはその会の報酬が安すぎるというのだ

確かに自分の仕事に誇りをもっていて 会に携わるすべての皆様に存分に満足していただける確固たる自信があるのであれば こちらからギャランティーの希望も言うだろう

私はそうではない 仕事には全力で向き合うが終わってみて満足して会場を後にしたことなど一度たりともない まだ言えば 思うように運べず悔しくて号泣しながら運転したこともある

その会の担当者に改めて謝罪も込めて連絡した時は なぜ謝るのかと不思議がられるがとにかく報酬をいただくのも申し訳ないような気持ちにさえなる

これが「仕事の安売り」であり「商売下手」の要因なのか 私の仕事など価格があってないようなもの

「1万円しか払えないんです」と言われればノーとは言わないし「片手でいいですか」と聞かれれば高すぎますと答えてしまう

あるときなどはお医者様の関係のパーティーだったか30万円でと言われ さすがに驚いたが たまたま先約で3万円の仕事依頼を受けていたため お医者様の方は丁重にお断りした

 

私は不器用だ

「25枚よろしくお願いします」と言われれば「じゃあ1枚いくらで」とは言えない 

「このステージはいくらで受けてもらえますか」と聞かれれば「予算の範囲内で結構です」と返す

 

実情を知らない周りからは潤っているのだろうというイメージが強いらしく 夫の両親との同居から今の住宅に移り住む時などは「嘘でしょ?ここの住宅に?…〇〇さんでしょ?えーー…」と噂されたものだ 今の住宅は所得の上限があり 稼いでいる家族は入れない所なのだが イメージは勝手に一人歩きするし パートナー選びによってその差が更に開くことになる場合もある

 

生き方すべてに甘いのだ それが私 気付いているのだ

 

文字を込めた小さな25枚は 依頼人の「ごあいさつ」にひらひらとくっつく

毎月同じ送り先に 前回と同じ野菜が入らないよう義姉が連絡調整しながら 兄は手書きの内容説明を作り添える 箱を組み並べ新聞紙の底敷を置きそれぞれの空間に野菜を入れてゆくのは母である その上を新聞紙で覆い手書き説明を置いていったら梱包だ

私のひらひらは最後にくっついていく

依頼人は産婦人科の開業医さんで兄の同級生なのだが 生活の次元が違いすぎて感覚が無く お会いした時には「あなたも同じ人間です」と心に言い聞かせて会話をしている自分がいる

 

薄っぺらの裏側で 私がすねている

「何枚でもよいが ひらひらぐらいがちょうどいい」

 

 

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今回もやはり ブラザーコンプレックスのこころは絡みます。兄のつながりに「トップレベル」と表現したくなる方達が多く 届かない寂しさと自らの生き方の甘さ故…が入り交じった記事です。

人生慎重に しかしのびのびと…歩みたいものです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

次回のお越しをお待ちしております。

 

shuhuugoo

 

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