真っ直ぐ前を見て目的地までとことこ歩くのもそろそろ飽きてきた
片田舎にしては車の通りも多い県道沿いだが 直線がしばらく続く何かの上を進むだけというのも物足りなくなってきたので 大股歩きをプラスしてみた
これは効く 15分いけるかな…リハビリにするにはハードルが高かったかと思いながらリズムから外れるタイミングを失ったまま 目的地のATMに辿り着いた
外出する回数がめっきり減ったせいだろう 通帳の残高も前回とさほど変わってなくて後ろに順番待ちの人がいる気配がしたので ササッと終わらせ離れて独り言を解放した
「えっ!減ってない…」
前日の夕飯の途中で夫から パソコン代あさって落ちるんだけど…と飛んできたので静かに吸収して久々に歩いてきたのだ
確かにこれは私の意思で購入したものだが 主の口から出る言葉がこれかと思いその後すぐに理想を下げる努力をしてみた
楽になった
だから翌日も 張り切って大股歩きでお金を下ろしに来れた気がする
最低限の食料品を隣のスーパーで買った
当日が消費期限の豚バラ肉が3割引きで こういう類の売り方に魅力を感じている私に一瞬驚いた
気がついたら2パック目のお買い得を探していたのでようやく見栄がすっかり消えたかと諦めがついたが3割引きはそれが最後だったようだ
働き盛りの息子の顔が浮かび通常価格の同じお肉を追加でカゴに入れた
レジを済ませた後 背中一面を覆っていた空っぽのリュックに 少なすぎて踊らないよう考えながらそっと入れた
豚バラ肉が歩いて帰る間に腐りはしないかと心配になり パック同士を向かい合わせにして備え付けの透明袋に入れた後テープでしっかり固定した
他の2、3品がリュックの中でアンバランスだったが 肉が腐ることのほうが後々面倒だと思ったので 急いで横断歩道を渡り同じ道を逆方向に進んだ
さっきの大股歩きを身体が覚えていて勢いよく一歩目を出したら 背中のリュックが振り子の動きになり体重移動が押し戻された
慌ててバウンドを吸収しようと右手を後ろに回したら とても懐かしいポージングになっていた
フィット感と体温が蘇りかけて キャベツのゴツゴツと板コンニャクの冷やぬるい感触が腰辺りでぶつかった
ニヤニヤしながらとことこ歩いたが 右手のひねり具合が二の腕まで電気を走らせたのですぐにやめた
帰ったら仮眠しよう
しばらくリュックの思うままに歩き 背中に汗が滲んできたので足を止めて空を見た
雲がずいぶん高くて辿り着けそうもない感じにしばらく見とれた
真ん中をすーっと切って走り抜けるスジが無情にも思えた
明日 天気が崩れるような情報あったっけ…
飛行機雲を見ると条件など把握せずそう思ってしまう
もうすっかり豚バラ肉の優先順位は下がっている
都合良くて面倒くさい性格…
また独り言を放し 身体を回転させた
同じ時間とは思えないほど空の色が違っていた
吸い込まれそうで怖かったので 口直し的にもう90度身体の向きを変えた
光の鋭さに叱られているような気にさえなったが 具体的に何に対してかは考えたくなかった
スマートフォンのカメラ機能を閉じ 自宅のある方角に残りの150メートルほどを進んだ
一息ついて玄関の鍵を開けると 空気の境界線が見えた気がした
リュックを降ろして手を洗いうがいをした
取って付けたように急いで食料品を冷蔵庫に入れた後 翌日引き落とされるきっちりの額を誰もいないテーブルにそっと置いた
昼寝なんて何時振りだろう
静と動の使い方 それから…使い分けも間違っていないんだから
明らかに強引な自分にムッとし すぐに開き直った
私はいつも都合が良い
ワクワクしながら眠りについた
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今回も例外なく ここで兄を登場させますが…記事が重いのは承知しております。その上で思い出したことをひとつ…
10年ほど前にカルチャー教室のチラシを手作りし 兄に最終チェックをしてもらった時のこと…
「こういうのってさ…出るんだよな 性格」
ガッチガチに真面目なチラシ(フライヤーって言うんでしょうか)で 妙に納得し
無理矢理遊びを作ってみたのですが不発…
今回チラシではないのに ふとよぎりました。
きっと こう指されます。
「幸(さち)薄いの丸出しだな… 消したら?」
消しません 悪しからずm(_ _)m
お読みいただきありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
※デザイン変更しました※
shuhuugoo
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